Vol.6 VINCENT
スタイリスト千野潤也による連載「BOOTS and STYLES」
【SUDDEN VACATION】
約束がいつも果たされるとは限らない。
突然訪れる予定の空白も、
気持ちを切り替えれば自由な1日の始まり。
【CREDIT】
ブーツ “VINCENT”
¥78,000(Rolling Dub Trio/THE BOOTS SHOP☎︎03-6802-8083)
話して全てがすっきりするわけではないけれど、
あてどもなく歩いていると不思議と心は落ち着いてゆく。
何も考えずにブーツの心地よい重みだけを感じながらぶらつくことなんて思えば最近ずうっとしていなかった。
【CREDIT】
ブーツ “VINCENT”
¥78,000(Rolling Dub Trio/THE BOOTS SHOP☎︎03-6802-8083)
千野: 今回は”VINCENT”で撮影させていただきました。
ゴッホの「古靴」という絵からインスピレーションを受けて製作されたというのはご存知の方も多いかもしれません。
いつ頃から展開しているデザインなんでしょうか。
徳永: 結構前からだね。(笑)
当時の農民が作業時に履いていたブーツで(絵は1886年頃描かれた作品)、ゴッホが作品の為に蚤の市で買って描いたとも言われてる。
少しずつ手を加えていて最新のモノは以前と比べるとより重量が軽くライトになっているよ。
千野: 味出しも含めいつも以上に無骨なブーツだなと思いながら僕も履いてみたのですが、とても軽い履き心地で良い意味で裏切られました。ラストもスリムですよね。
徳永: 底材を軽いものにしたり、ダブルからシングルステッチに変更してボリュームも削いでいて、街でも履きやすいよう工夫はしてるね。
千野: 特にこだわっている部分はどこでしょう。
徳永: 一つのディティールというよりは絵から読み取れる全体の雰囲気から質感、細かい部分までの再現度にこだわっているよ。
千野: あの絵からでも具体的に読み取れるものなんですね。
徳永: 読み取れるね。加えて当時の時代背景も踏まえて考えると選択肢が決まってくる。
この部分にステッチがないということは一枚革だなとか、クローム鞣しはない時代だから植物タンニン鞣しだなとか。
ステッチがシングルかダブルかも絵から読み取れる時もあるし、お金のない時代や人の靴であればきっとシングルだろうなという憶測もつく。
ステッチ本数が増えればそのぶんコストがかかるからね。
千野: なるほど、戦時中にデニムや軍服のパーツが省略されたりするのに近い感覚ですね。
徳永: そうそう。
千野: ゴッホへの思い入れはありますか?
徳永: 高校時代に美術部に入っていて
絵は好きだから良く美術館や図書館にに通うおしゃれな学生だったよ。
千野: 意外な側面ですね!
徳永: ゴッホはもちろん好きなんだけど彼だけに執着しているわけではなくて、靴を作っていて、良い靴の絵を目にして、感動して作ってみたくなったっていうシンプルな衝動だよね。
千野: なるほどシンプルな故に強い動機ですね。有難うございました!
【CREDIT】
ブーツ “VINCENT”
¥78,000(Rolling Dub Trio/THE BOOTS SHOP☎︎03-6802-8083)
Direction, Styling & Text @junya_chino
Photography @genkinishikawa
Model: Samuel