VOL.9 WARAJI SANDAL
スタイリスト千野潤也による連載「BOOTS and STYLES」
Vol.9「TOKYO SANDALの”WARAJI SANDAL”」
【対談①】
千野: 今回は東京サンダルの
“WARAJI SANDAL”についてお話を伺います。
徳さん宜しくお願いします!
徳永: 宜しくね。
千野: このWARAJIは東京サンダル立ち上げ時からの言わばスタメン的なモデルですよね。浅草でビジュアル撮影したのが懐かしいです!
TABI、SETTAと並んで日本ルーツを象徴する一足だと思いますがやはり最初から構想に含まれていたのでしょうか?
徳永: サンダルメインのブランドを作るにあたって日本の浅草を拠点にしているわけだしやっぱり構想には入っていたね。レザーのブーツ、シューズを得意とするうちがサンダルでできること。
例えばそのノウハウを生かした重厚感のある作り込み、加えてレザーで和のものを表現することもその一つだと思ったんだ。
【対談②】
千野: 実際に昔の草鞋(わらじ)を見ながら作ったりもされたのですか?
徳永: うちの店のお隣に大先輩にあたる合同さん(昔ながらの草鞋や雪駄を取り揃える合同履物株式会社)もいらっしゃるし、色々オリジナルの作りを見に行ったり、何種類も買って研究したね。
千野: 昔は草履よりもよりアクティブな動きに対応できる履物として草鞋は重宝されていたんですよね。
徳永: 登山とか旅行みたいな長距離歩行にも履かれていたみたいだね。
鼻緒だけで支える雪駄よりも固定する紐が多いから足に密着して歩きやすい作りになってる。
草鞋は当時のスポーツサンダルだったんだと思う。
ただ当時は舗装されていない土の地面を歩くことで藁に土が入り込んで摩耗が軽減されていたんだけど、今はアスファルトの道路だからすぐ消耗してしまうだろうね。
「仲人はわらじ千足 」なんていう言葉もあるくらいだから藁の草鞋は歩くほどに取り替えていく消耗品であったことが伺えるよ。
【対談③】
千野: そんな草鞋(わらじ)を元にレザーで作り直したのがこのWARAJI SANDALということですね!
藁(わら)からレザーになってまた違った迫力があります。
ただ素材が違えば硬さや厚みなども違うわけでデザインもそのままというわけには行かないと思うのですが、
どういった点を工夫されたのでしょうか?
徳永: 一番こだわったのは足をホールドする紐の部分だね。
ちぎれても困るし強度を保ちながら見た目に品もあるアイデアを探して行き着いたのが、
京都の帯紐を編む機会でレザーを編み込んで紐にするやり方だった。
一本一本やるからとても手間がかかってしまうんだけど和の要素も出せるし、エレガントさも出る。
千野: クオリティの高さは一目瞭然ですね。
徳永: 紐の太さはMIZUHIKIの時のように適度になるように吟味して調整。強度を上げるために最初は紐の中に芯材を入れたりもしてたんだよ。
すると今度は強度はあるけど紐の足当たりが強すぎて痛くなっちゃってね。
千野: 履いた時はそんな風に感じませんでした!
徳永: 試行錯誤した結果、
編んだ後に芯材だけ抜き取ったんだよ。それで中に適度な空間ができて、
足への当たりの柔らかさと強度を両立することができた。
千野: なるほど!
そこに気付けたことでついに理想の紐に行き着いたのですね。
履くほど馴染んでいくレザーの特性と併せて完璧に自分の足にフィットした一足に育てるのも楽しみになりますね。
お話有難うございました!
【CREDIT】
“WARAJI SANDAL”
¥49,800 (TOKYO SANDAL/THE BOOTS SHOP ☎︎03-6802-8083)
Direction, Styling & Text @junya_chino
Photography @genkinishikawa
Model @sonnet_.tw